外国人が日本の介護施設などで介護福祉士として働く場合、在留資格「介護」が関係します。
しかし、実際に申請する段階になると、
「どの書類を準備すればいい?」
「介護福祉士登録証は必要?」
「雇用契約書には何を書けばいい?」
「介護施設側が準備する書類は?」
と迷う方も少なくありません。
在留資格「介護」の申請では、外国人本人に関する書類だけでなく、勤務先・雇用契約・仕事内容などに関する資料も重要です。
本記事では、在留資格「介護」の申請を検討している外国人本人と、外国人を雇用する介護施設の双方に向けて、必要書類と注意点を行政書士が分かりやすく解説します。
在留資格「介護」とは?
在留資格「介護」は、日本の介護施設などで、介護福祉士の資格を持つ外国人が介護または介護の指導を行う活動を行うための在留資格です。
外国人介護士が日本で長期的に働く場合に利用される代表的な在留資格の一つです。
例えば、
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 認知症対応型共同生活介護
- 特定施設入居者生活介護
などで働くケースがあります。
ただし、単に「介護施設で働く」というだけで在留資格「介護」を取得できるわけではありません。
介護福祉士としての資格と、実際に行う仕事内容、雇用契約などが重要になります。
在留資格「介護」の申請にはどんな書類が必要?
具体的な必要書類は、申請の種類や申請人・勤務先の状況などによって異なります。
代表的なものとして、次のような資料があります。
外国人本人に関する書類
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- パスポート
- 在留カード
- 介護福祉士登録証等
- 卒業証明書等
- その他、申請内容を説明する資料
雇用先に関する書類
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 会社・法人等の概要が分かる資料
- 事業内容が分かる資料
- その他、勤務先の状況を確認できる資料
ただし、申請人の状況によって必要書類は変わります。
また、出入国在留管理庁が申請内容を審査するために、追加資料の提出を求める場合があります。
① 在留資格変更許可申請書
現在「留学」などの在留資格で日本に滞在している外国人が、卒業後に介護施設で働くため「介護」へ変更する場合には、原則として在留資格変更許可申請を検討します。
例えば、
留学
↓
介護福祉士養成施設を卒業
↓
介護福祉士資格を取得・登録
↓
介護施設に就職
↓
在留資格「介護」へ変更
という流れです。
申請書には、本人の情報だけでなく、勤務先や活動内容などを記載します。
記載内容と実際の雇用条件・仕事内容に矛盾がないよう注意しましょう。
② 写真
申請には規定の写真が必要です。
写真については、出入国在留管理庁が定める規格に従って準備します。
古い写真や規格に合わない写真を使用すると、申請時に問題となる可能性があります。
申請前に最新の規格を確認しましょう。
③ パスポート
外国人本人のパスポートも確認します。
申請時には、
- 氏名
- 生年月日
- 国籍
- パスポート番号
などを確認します。
在留カードとの記載内容に相違がないかも確認しておくと安心です。
④ 在留カード
日本に中長期在留している外国人が在留資格「介護」へ変更する場合、現在の在留カードを確認します。
特に、現在の在留資格在留期限は重要です。
例えば、現在「留学」の在留資格で、介護福祉士養成施設を卒業した外国人が就職する場合、在留期限を確認したうえで変更申請の準備を進めます。
⑤ 介護福祉士登録証
在留資格「介護」の申請で特に重要なのが、介護福祉士としての資格を証明する資料です。
代表的な資料として介護福祉士登録証があります。
在留資格「介護」は、単に介護福祉士養成施設を卒業したというだけで判断するものではありません。
そのため、介護福祉士資格・登録の状況を確認することが重要です。
養成施設卒業者は特に注意
介護福祉士養成施設を卒業した外国人については、介護福祉士国家試験制度に関する経過措置等が関係する場合があります。
そのため、「養成施設を卒業したが、国家試験に合格していない」というケースでは、通常の申請と同じように考えず、
- 卒業時期
- 国家試験の受験状況
- 経過措置の対象か
- 介護福祉士登録の状況
などを確認する必要があります。
⑥ 卒業証明書・学歴関係資料
介護福祉士養成施設を卒業した外国人の場合、卒業証明書などの資料が重要になることがあります。
特に、いつ、どの養成施設を卒業したのかを確認する資料として利用されます。
また、経過措置が関係するケースでは、卒業時期が重要になるため、卒業証明書等を準備しておくことが大切です。
⑦ 雇用契約書
在留資格「介護」の申請では、外国人が日本でどのような仕事をするのかを確認する必要があります。
そのため、雇用契約の内容は非常に重要です。
例えば、
- 雇用主
- 雇用期間
- 就業場所
- 職務内容
- 労働時間
- 賃金
- その他の労働条件
などを確認します。
「介護」と書いてあれば大丈夫?
必ずしもそうではありません。
例えば雇用契約書に、介護業務とだけ記載されていても、実際の仕事内容が在留資格「介護」に該当するかどうかは別途確認する必要があります。
入管手続では、契約書上の仕事内容と、実際の仕事内容が一致しているかが重要です。
⑧ 労働条件通知書
雇用契約書とともに、労働条件通知書等を確認することもあります。
特に、
- 給与
- 勤務時間
- 勤務場所
- 雇用期間
- 職務内容
などについて、他の提出資料との間に矛盾がないか確認しましょう。
⑨ 勤務先・法人に関する資料
外国人本人だけではなく、勤務先についての資料も重要です。
例えば、
- 法人の概要
- 会社案内
- 事業内容
- 介護事業所の概要
- 登記事項証明書等
- 決算関係資料等
が関係する場合があります。
ただし、勤務先のカテゴリーや申請内容によって提出資料は異なります。
「介護施設だからこの書類だけ」という一律のリストで考えないことが大切です。
⑩ 仕事内容を説明する資料
在留資格「介護」の申請では、外国人が実際にどのような仕事をするのかを明確にすることが重要です。
例えば、
- 食事介助
- 入浴介助
- 排せつ介助
- 移動介助
- 生活支援
- その他の介護業務
などです。
ただし、単に業務名を列挙するだけではなく、雇用契約や勤務先の事業内容との整合性を確認することが重要です。
「介護」ではできない仕事に注意
在留資格「介護」で働く場合には、認められている活動の範囲に注意が必要です。
例えば、介護施設に雇用されているから、施設内のどんな仕事でもできるということではありません。
実際の仕事内容が在留資格に該当するか確認する必要があります。
また、介護業務以外の副業等を行う場合には、資格外活動許可が必要になる可能性があります。
申請書類の内容に矛盾がないことが重要
在留資格申請では、「書類をそろえること」だけでは十分ではありません。
例えば、
雇用契約書→ 介護職
求人票→ 介護職
申請書→ 介護職
勤務先の説明→ 介護職
となっていても、実際の仕事内容が異なれば問題になる可能性があります。
したがって、申請書・雇用契約・勤務先資料・仕事内容の内容を一致させることが重要です。
在留資格変更の場合は「現在の在留状況」も確認
留学生から「介護」へ変更する場合などでは、就職先だけでなく、これまでの在留状況も確認する必要があります。
例えば、
- 学校への出席状況
- 資格外活動の状況
- 在留期限
- これまでの在留資格
- 在留資格に応じた活動を行っていたか
などです。
特に留学生の場合、資格外活動許可を取得してアルバイトをしていることがあります。
資格外活動の時間超過などがある場合には、在留資格変更の審査にも影響する可能性があります。
在留資格「介護」の更新でも書類確認が必要
すでに在留資格「介護」を取得している外国人が更新する場合も、申請書類の準備が必要です。
更新の場合には、「一度『介護』を取得したから何でも大丈夫」というわけではありません。
現在の勤務先、仕事内容、雇用条件、在留状況などを確認する必要があります。
転職している場合には、特に注意が必要です。
転職した場合は注意
在留資格「介護」を取得した後に、別の介護施設へ転職することもあります。
この場合、転職した=直ちに在留資格を変更しなければならないという意味ではありませんが、転職後の活動が現在の在留資格に該当しているか確認する必要があります。
また、所属機関に関する届出が必要となる場合があります。
転職後の仕事内容が「介護」の在留資格で認められる範囲なのかも確認しましょう。
在留資格「介護」の申請書類チェックリスト
外国人本人
□ 在留資格変更・更新等の申請書
□ 写真
□ パスポート
□ 在留カード
□ 介護福祉士登録証等
□ 卒業証明書等
□ その他必要な資格・経歴資料
雇用先
□ 雇用契約書
□ 労働条件通知書
□ 仕事内容が分かる資料
□ 事業内容が分かる資料
□ 法人・勤務先に関する資料
□ その他、申請内容に応じた資料
※必要書類は申請の種類、申請人の状況、勤務先の状況等によって異なります。
書類がそろっていても許可されるとは限らない
ここは非常に重要です。
在留資格申請では、「必要書類を全部提出した=許可」ではありません。
提出された資料をもとに、
- 在留資格の要件
- 仕事内容
- 雇用条件
- 資格
- 在留状況
- 勤務先の状況
などが総合的に審査されます。
そのため、必要書類の収集だけではなく、申請内容そのものに問題がないか確認することが重要です。
追加資料を求められることもある
申請後、出入国在留管理庁から追加資料の提出を求められることがあります。
例えば、
「仕事内容について、さらに詳しく説明してください」
「勤務先について追加資料を提出してください」
といった形です。
この場合は、期限を確認して適切に対応する必要があります。
こんな場合は専門家への相談がおすすめ
次のようなケースでは、申請前に専門家へ相談することをおすすめします。
- 介護福祉士養成施設を卒業した
- 国家試験に不合格だった
- 経過措置が利用できるか分からない
- 留学から「介護」へ変更したい
- 雇用契約の仕事内容が複雑
- 転職後に更新を予定している
- 過去に資格外活動の時間超過がある
- 在留期限が迫っている
- 過去に在留資格申請が不許可になった
- 介護施設側で外国人を初めて雇用する
ポー行政書士事務所にご相談ください
在留資格「介護」の申請では、単に書類を集めるだけではなく、「なぜこの外国人が、この勤務先で、この仕事をするのか」を申請内容全体で分かりやすく示すことが重要です。
ポー行政書士事務所では、外国人本人だけでなく、外国人を雇用する介護施設・事業者からのご相談にも対応しています。
このようなご相談を承っています
- 在留資格「介護」へ変更したい
- 介護福祉士登録後の申請について相談したい
- 養成施設卒業者の経過措置について確認したい
- 留学から「介護」へ変更したい
- 「介護」の更新をしたい
- 介護施設で外国人を採用したい
- 必要書類を確認したい
- 申請書類の作成を依頼したい
「自分の場合、どの書類が必要なのか分からない」という方も、現在の在留資格・介護福祉士資格・勤務先などを確認したうえでご相談いただけます。
まとめ
在留資格「介護」の申請では、代表的に、
- 申請書
- 写真
- パスポート
- 在留カード
- 介護福祉士登録証等
- 卒業証明書等
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 勤務先・事業内容に関する資料
- 仕事内容を確認できる資料
などを準備します。
ただし、すべての申請で同じ書類が必要になるわけではありません。
特に介護福祉士養成施設を卒業した外国人については、卒業時期・国家試験・経過措置・介護福祉士登録を確認することが重要です。
また、申請書類については、資格・仕事内容・雇用契約・勤務先の内容が一致していることも重要です。
「必要書類を集めること」だけではなく、申請人が在留資格「介護」の要件を満たしているのかを申請前に確認することをおすすめします。
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