日本で介護福祉士として働いている外国人の中には、
「介護の仕事を続けながら日本に長く住みたい」
「永住許可を取得したい」
「介護ビザなら永住を取りやすい?」
「年収はいくら必要?」
「何年日本に住めば永住を申請できる?」
と考えている方もいるでしょう。
在留資格「介護」は、介護福祉士として日本で継続的に働くことができる在留資格です。
また、一定要件を満たせば、将来的に永住許可を目指すこともできます。
ただし、「介護ビザを持っている=永住許可が取得できる」というわけではありません。
永住許可では、これまでの在留状況や就労状況だけでなく、
- 日本での在留年数
- 現在の在留資格
- 在留期間
- 安定した収入
- 納税状況
- 年金・健康保険
- 素行
- 出国歴
- 家族状況
など、さまざまな事情が総合的に審査されます。
本記事では、在留資格「介護」で働いている外国人が永住許可を目指す場合に、特に確認しておきたいポイントを行政書士が分かりやすく解説します。
在留資格「介護」でも永住許可を申請できる
まず重要なのは、在留資格「介護」から永住許可を申請することは可能ということです。
永住許可申請では、現在の在留資格が「介護」であること自体が問題になるわけではありません。
むしろ、介護福祉士として安定して日本で就労している場合には、永住許可の審査で重要となる「独立の生計を営むに足りる資産又は技能」を検討するうえで、一つのプラス材料となり得ます。
ただし、最終的な許可・不許可は、個々の事情を踏まえて入管当局が判断します。
永住許可には原則10年の在留が必要
永住許可の一般原則として重要なのが、引き続き10年以上日本に在留していることです。
そのうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることなどの要件があります。
例えば、
留学
↓
「介護」
↓
永住申請
という場合には、日本に住んでいた期間をすべて単純に「就労資格5年以上」として扱えるわけではありません。
留学期間と就労資格による在留期間について、要件を整理する必要があります。
「介護ビザを5年持っていれば永住できる」という意味ではない
例えば、「介護ビザになって5年経ったから永住申請できる」とは限りません。
一般原則では、日本での在留期間10年以上という要件が基本となります。
さらに、そのうち一定期間について就労資格等で在留している必要があります。
ただし、永住許可には一定の特例があります。
例えば、
- 日本人・永住者・特別永住者の配偶者
- 高度専門職
- 定住者
などについて、要件が緩和される場合があります。
そのため、自分が一般原則に該当するのか、特例に該当するのかを確認することが重要です。
在留資格「介護」の在留期間も重要
永住許可を検討する場合、現在の在留期間にも注意してください。
永住許可のガイドラインでは、原則として、現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していることが求められます。
現在の制度では、在留資格「介護」の在留期間には、
- 5年
- 3年
- 1年
- 3月
があります。
そのため、永住申請を検討する際には、現在の在留期間が何年なのかを確認しておきましょう。
なお、在留期間に関する取り扱いについては制度改正等にも注意が必要です。
年収はいくら必要?
永住許可を考える外国人から、非常によく聞かれる質問です。
「年収300万円あれば永住できますか?」
「年収400万円必要ですか?」
という質問があります。
しかし、永住許可について、「年収○万円以上なら必ず許可される」という法律上の固定基準はありません。
永住許可では、申請人が将来にわたって安定した生活を営むことができるかという観点から、収入・資産・扶養状況などが総合的に判断されます。
「年収」だけで判断しない
例えば、同じ年収400万円でも、
Aさん
- 独身
- 安定した正社員
- 勤続年数が長い
- 税金を適切に納付
- 社会保険加入
- 未納なし
という場合と、
Bさん
- 配偶者・子どもを扶養
- 転職を繰り返している
- 税金の納付に問題がある
- 年金に未納期間がある
という場合では、状況が異なります。
そのため、「年収だけを見て永住許可を判断する」ことはできません。
扶養家族がいる場合は注意
永住許可では、申請人本人だけではなく、家族の生活状況も重要になります。
例えば、
- 配偶者
- 子ども
- その他の扶養家族
がいる場合には、収入とのバランスを考える必要があります。
したがって、年収+扶養人数+生活状況を総合的に確認することが重要です。
税金の納付は非常に重要
永住許可で特に注意したいのが、納税状況です。
例えば、
- 住民税
- 所得税
などの納付状況が確認されます。
税金を期限どおりに納めているか、未納がないかなどを確認する必要があります。
「後から払えば大丈夫」とは限らない
例えば、
住民税の納付期限を過ぎていた
↓
永住申請の前にまとめて支払った
という場合です。
現在未納がないからといって、過去の納付状況が必ず問題にならないとは限りません。
永住許可では、公的義務を適正に履行していることが重要だからです。
年金・健康保険も確認される
税金だけではありません。
永住許可では、公的年金や公的医療保険の加入・納付状況も重要です。
例えば、
- 国民年金
- 厚生年金
- 国民健康保険
- 健康保険
などについて、適切に加入・納付しているか確認します。
特に会社員として働いている場合には、社会保険への加入状況も確認しておきましょう。
社会保険に入っていれば安心?
これも、「会社が社会保険に加入させているから問題ない」とは限りません。
申請人自身について、
- 適切な保険に加入しているか
- 保険料を適切に納付しているか
- 過去に未納がないか
などを確認する必要があります。
就労状況も重要
在留資格「介護」を持っている場合、実際に、介護福祉士として適切な仕事をしているかという点も重要です。
在留資格「介護」で許可されている活動と、実際の仕事内容が一致している必要があります。
例えば、在留資格「介護」を取得しているが、実際には介護とは関係のない仕事を長期間しているという場合には、在留資格上の問題が生じる可能性があります。
永住申請でも、これまでの在留状況が確認されることになります。
転職が多いと永住に不利?
転職しただけで永住が不許可になるわけではありません。
ただし、
- 転職の理由
- 転職後の仕事内容
- 収入の安定性
- 在留資格との適合性
- 無職期間
などを確認する必要があります。
特に、在留資格「介護」で認められていない仕事に転職していたという場合には注意が必要です。
無職期間がある場合
例えば、
介護施設を退職
↓
数か月間無職
↓
新しい介護施設へ就職
という場合です。
無職期間があることだけで、直ちに永住不許可になるわけではありません。
しかし、
- 無職期間の長さ
- その間の生活状況
- 求職活動
- 収入
- 社会保険
- 在留資格上の届出
などを確認する必要があります。
出国が多い場合も注意
永住申請では、日本に継続して在留していることが重要です。
例えば、毎年数か月間、母国に帰国しているなど、長期間の出国が繰り返されている場合には注意が必要です。
特に、「日本に生活の本拠があるのか」という点が重要になります。
出国期間や回数、理由などを確認したうえで判断する必要があります。
介護福祉士であることは永住許可に有利?
介護福祉士資格を持っていること自体が、「永住許可が自動的に有利になる」という意味ではありません。
ただし、
- 安定した就労
- 継続的な収入
- 専門資格
- 日本社会での継続的な就労
などを説明するうえでは、プラスの事情となり得ます。
永住許可では、資格そのものだけではなく、これまでの在留状況と今後の生活の安定性を総合的に説明することが重要です。
介護福祉士として働き続けている場合
例えば、
- 日本の介護福祉士養成施設を卒業
- 介護福祉士資格を取得
- 在留資格「介護」を取得
- 同じ介護施設で継続勤務
- 安定した給与
- 税金・年金・健康保険を適切に納付
- 長期間日本で生活
というケースであれば、永住許可を検討する際の基礎となる事情が整っていると考えられます。
もちろん、これだけで許可が保証されるわけではありません。
永住申請前に確認したいチェックリスト
在留関係
□ 日本での在留期間
□ 就労資格での在留期間
□ 現在の在留資格
□ 現在の在留期間
□ 在留期限
仕事・収入
□ 現在の勤務先
□ 勤続年数
□ 仕事内容
□ 年収
□ 雇用形態
□ 転職歴
□ 無職期間
税金
□ 住民税
□ 所得税
□ 納付期限
□ 未納・滞納の有無
社会保険
□ 年金加入
□ 年金納付
□ 健康保険加入
□ 健康保険料納付
生活状況
□ 扶養家族
□ 出国歴
□ 日本での生活基盤
□ 交通違反等の問題
これらを一つずつ確認することが重要です。
永住申請は「現在だけ」を見るものではない
永住許可で重要なのは、「今の年収がいくらなのか」だけではありません。
これまでの、
- 在留状況
- 就労状況
- 税金
- 社会保険
- 年金
- 出国歴
などを含めて確認されます。
そのため、「現在は問題ないから申請すれば大丈夫」と判断するのは危険です。
申請前に過去の状況を整理しておくことが重要です。
在留資格「介護」から永住を目指す場合の流れ
一般的には、次のような流れで準備します。
STEP1 永住許可の要件を確認
まず、一般原則または特例のどちらに該当するのか確認します。
STEP2 在留歴を確認
日本にいつから住んでいるのか、就労資格で何年在留しているのかを確認します。
STEP3 税金・年金・保険を確認
過去の納付状況を確認します。
STEP4 仕事・収入を確認
現在の仕事内容、雇用状況、収入、扶養状況などを整理します。
STEP5 出国歴等を確認
長期出国などがないか確認します。
STEP6 必要書類を準備
永住許可申請に必要な資料を準備します。
STEP7 理由書等を作成
必要に応じて、日本での生活状況や永住を希望する理由などを整理します。
STEP8 永住許可申請
必要書類をそろえて申請します。
ポー行政書士事務所にご相談ください
在留資格「介護」で日本の介護施設に勤務している外国人の方で、
「将来は日本に永住したい」と考えている場合、早めに準備を始めることをおすすめします。
永住許可は、申請書を書いて提出すれば終わりという手続きではありません。
特に、
- 日本に何年住んでいるか
- 就労資格で何年在留しているか
- 在留期間
- 年収
- 扶養家族
- 税金
- 年金
- 健康保険
- 転職歴
- 無職期間
- 出国歴
などを総合的に確認する必要があります。
このような方はご相談ください
- 在留資格「介護」で働いている
- 介護福祉士として日本で長く働いている
- 将来、永住許可を取得したい
- 永住申請の時期を知りたい
- 年収が永住要件を満たしているか確認したい
- 税金や年金について不安がある
- 転職歴がある
- 長期間の出国歴がある
- 家族を扶養している
- 永住申請の必要書類を知りたい
「自分の場合、今すぐ永住申請を検討できるのか?」という段階からご相談いただけます。
まとめ
在留資格「介護」で日本に住んでいる外国人も、一定の要件を満たせば永住許可を目指すことができます。
ただし、「介護ビザを持っているから永住できる」というわけではありません。
一般原則では、日本に引き続き10年以上在留し、そのうち一定期間を就労資格等で在留していることなどが重要になります。
さらに、
- 安定した収入
- 適切な納税
- 年金・健康保険の適正な加入・納付
- 素行
- 適切な在留状況
- 現在の在留期間
- 出国歴
- 扶養状況
などについても確認が必要です。
介護福祉士として安定して働いていることは、永住許可を検討するうえで重要な事情の一つですが、資格や年収だけで許可が決まるものではありません。
「いつ申請するのがよいのか」「現在の状況で問題がないのか」を事前に確認することが、永住許可申請では重要です。
