日本の介護施設で働いている外国人の中には、
「今の介護施設を辞めて別の施設で働きたい」
「在留資格『介護』のまま転職できる?」
「転職したら入管に何か届け出が必要?」
「新しい介護施設で働くためにビザを取り直す必要がある?」
と疑問を持っている方もいるでしょう。
結論からいうと、在留資格「介護」を持っている外国人が、別の介護施設へ転職することは可能です。
ただし、転職先で行う仕事が、引き続き在留資格「介護」で認められる活動に該当していることが重要です。
また、転職した場合には、出入国在留管理庁への所属機関に関する届出が必要になる場合があります。
さらに、転職後の仕事内容によっては、現在の在留資格では認められない可能性もあります。
この記事では、在留資格「介護」で働く外国人が介護施設を変更する場合に、
- 転職できるのか
- 入管への届出は必要なのか
- 転職先でどんな仕事ができるのか
- 転職後に在留資格変更が必要なのか
- 在留期間更新の際に注意すること
- 転職活動中に注意すること
について、行政書士が分かりやすく解説します。
在留資格「介護」でも転職できる
在留資格「介護」だから転職できない、ということはありません。
現在の介護施設を退職して、別の介護施設に転職することは可能です。
例えば、
A介護施設
↓
退職
↓
B介護施設
↓
介護福祉士として勤務
という転職は、一定の条件を満たしていれば可能です。
重要なのは、転職先で行う仕事内容が在留資格「介護」に該当するかという点です。
在留資格「介護」で認められる活動とは?
在留資格「介護」は、出入国在留管理及び難民認定法上、介護福祉士の資格を有する者が、介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を対象とする在留資格です。
そのため、単純に、「介護施設で働いている」というだけでは十分ではありません。
実際に行う仕事内容が、在留資格「介護」で認められる活動に該当する必要があります。
転職先も介護施設なら問題ない?
基本的には、転職先でも介護福祉士として適切な業務を行うのであれば、在留資格「介護」の活動に該当する可能性があります。
例えば、
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- グループホーム
- デイサービス
- 訪問介護事業所
など、介護サービスを提供する事業所への転職が考えられます。
ただし、施設の名称だけで判断することはできません。
実際の雇用契約や仕事内容を確認することが重要です。
転職先で「介護」と関係ない仕事をしてはいけない
例えば、
在留資格「介護」を持っている
↓
介護施設に就職
↓
実際には清掃業務だけを担当
というようなケースでは注意が必要です。
また、
介護施設を運営する会社に就職
↓
本社で営業・一般事務だけを担当
という場合も、仕事内容によっては在留資格「介護」の活動に該当しない可能性があります。
つまり、「会社が介護施設を運営しているから何の仕事をしてもいい」ということではありません。
転職したら入管への届出が必要
在留資格「介護」を持つ外国人が、所属する契約機関に変更があった場合には、「契約機関に関する届出」の対象になります。
出入国在留管理庁に対して、所定の届出を行います。
一般的には、変更が生じた日から14日以内に届出を行う必要があります。
ここは転職時に忘れやすいポイントです。
「在留資格変更許可申請」は必要?
介護施設から別の介護施設へ転職し、転職後も在留資格「介護」で認められる活動を行う場合、転職しただけを理由として、必ず在留資格変更許可申請をする必要があるわけではありません。
在留資格「介護」のまま活動できる場合があります。
ただし、
- 転職先の仕事内容
- 雇用契約
- 介護福祉士資格
- 施設の事業内容
などについて確認することが重要です。
転職後に「就労資格証明書」を取得する方法もある
転職後、「新しい勤務先で、現在の在留資格で働いて問題ないか確認したい」という場合には、就労資格証明書の交付申請を検討できます。
就労資格証明書は、外国人が日本で行うことができる就労活動を証明するためのものです。
例えば、
転職した
↓
新しい仕事内容が「介護」に該当するか確認したい
↓
就労資格証明書を申請
という方法があります。
就労資格証明書は「必ず必要」ではない
ここも誤解されやすいところです。
転職したからといって、必ず就労資格証明書を取得しなければならないわけではありません。
ただし、転職後の仕事内容が現在の在留資格で認められるか不安な場合には、活用を検討できます。
在留期間更新のときにも転職先を確認される
転職後、そのまま在留資格「介護」を更新する場合には注意が必要です。
在留期間更新許可申請では、現在の勤務先や仕事内容などが確認されます。
例えば、
A施設
↓
B施設へ転職
↓
B施設で介護福祉士として勤務
↓
在留期間更新
という場合、B施設での仕事内容等を確認できる資料を準備することになります。
転職回数が多いと不許可になる?
転職回数が多いというだけで、在留期間更新が不許可になるわけではありません。
ただし、
- 転職理由
- 転職間の空白期間
- 現在の仕事内容
- 収入
- 在留資格との適合性
- 届出の状況
などを確認する必要があります。
特に短期間で転職を繰り返している場合には、これまでの就労状況を整理して説明できるようにしておくことが重要です。
退職したら何をすればいい?
現在の勤務先を退職した場合も、所属機関に関する届出が関係します。
転職先がすぐに決まっていない場合でも、退職したこと自体について届出が必要になる場合があります。
また、退職後に長期間就職活動をせず、在留資格「介護」に該当する活動を行っていない状態が続く場合には、在留資格との関係にも注意が必要です。
転職活動中も在留資格に注意
例えば、
介護施設を退職
↓
転職活動
↓
2か月後に新しい介護施設へ就職
というケースです。
短期間の転職活動だけで直ちに問題になるとは限りません。
しかし、在留資格「介護」は、介護福祉士として介護等の活動を行うための在留資格です。
そのため、退職後に何をしているのか、どのくらいの期間その状態が続いているのかなどは注意しておく必要があります。
転職先が決まったら雇用条件を確認
転職する際には、給与だけでなく、次の項目を確認しましょう。
確認項目
- 仕事内容
- 勤務先
- 雇用期間
- 給与
- 勤務時間
- 夜勤の有無
- 社会保険
- 休日
- 交通費
- 資格手当
特に重要なのが、実際の仕事内容です。
在留資格「介護」で働くのであれば、転職先でどのような業務を担当するのかを確認しましょう。
介護福祉士資格が失効していないか確認
在留資格「介護」では、介護福祉士資格が重要です。
転職する際にも、介護福祉士登録が適切に維持されているかを確認しておきましょう。
例えば、介護福祉士登録に関して変更事項がある場合には、必要な手続きを確認することが大切です。
転職先が「特定技能」ではない場合に注意
現在「介護」の在留資格を持っている人が転職する場合、「介護施設ならどこでも同じ」とは限りません。
例えば、転職先での仕事内容が特定技能の対象となる介護業務であっても、現在の在留資格「介護」で認められる活動に該当するかを確認する必要があります。
また、雇用形態や業務内容が大きく変わる場合には、在留資格の適合性を専門家に確認することをおすすめします。
転職時のチェックリスト
転職する前に、次の項目を確認しましょう。
現在の勤務先
□ 退職日
□ 所属機関に関する届出
□ 在留期限
新しい勤務先
□ 会社名
□ 施設名
□ 仕事内容
□ 雇用契約
□ 給与
□ 勤務時間
□ 勤務場所
在留資格
□ 仕事内容が「介護」に該当するか
□ 介護福祉士資格を維持しているか
□ 在留資格変更が必要か
□ 就労資格証明書を取得する必要があるか
将来
□ 次回の在留期間更新
□ 永住許可を目指す場合の影響
□ 社会保険・税金の状況
転職が永住申請に影響することはある?
将来的に永住許可を目指している方は、転職時の状況にも注意しましょう。
転職そのものが永住許可に不利になるわけではありません。
しかし、
- 無職期間
- 収入の不安定化
- 税金の未納
- 年金・健康保険の未納
- 在留資格と仕事内容の不一致
などがある場合には、永住許可の審査で問題となる可能性があります。
そのため、「将来永住したい」という方ほど、転職後の税金・社会保険・在留資格を適切に管理することが重要です。
よくある質問
Q.在留資格「介護」なら自由に転職できますか?
転職自体は可能ですが、転職先で行う仕事内容が在留資格「介護」で認められる活動に該当する必要があります。
Q.介護施設から別の介護施設への転職ならビザ変更は不要ですか?
転職後も「介護」の在留資格で認められる活動を行う場合、転職だけを理由として必ず在留資格変更許可申請をする必要があるわけではありません。
ただし、転職先の仕事内容等を確認することが重要です。
Q.転職したら入管に連絡する必要がありますか?
所属する契約機関に変更があった場合、原則として14日以内の届出が必要です。
Q.転職後に就労資格証明書を取る必要がありますか?
必須とは限りません。
ただし、転職先の仕事内容が現在の在留資格で認められることを確認したい場合には、就労資格証明書の活用を検討できます。
Q.介護施設を退職してから転職先を探しても大丈夫ですか?
転職活動自体は可能ですが、退職後の在留資格との関係に注意する必要があります。
退職日、転職活動の期間、次の就職先などを整理しておきましょう。
ポー行政書士事務所にご相談ください
在留資格「介護」で働いている外国人が転職する場合、最も重要なのは、「転職先で行う仕事が、現在の在留資格で認められるのか」という点です。
単純に、「今も介護施設、転職先も介護施設だから大丈夫」と判断するのではなく、具体的な仕事内容や雇用契約を確認することが大切です。
ポー行政書士事務所では、在留資格「介護」で働く外国人の転職について、
- 転職先の仕事内容の確認
- 在留資格との適合性の確認
- 入管への届出についてのご案内
- 就労資格証明書に関する相談
- 在留期間更新
- 永住許可申請
などについてご相談いただけます。
このような方はご相談ください
- 介護施設を変えたい
- 転職先が決まった
- 転職しても現在の「介護」ビザを使えるか知りたい
- 新しい仕事が在留資格に該当するか不安
- 退職したが、次の仕事がまだ決まっていない
- 入管への届出方法が分からない
- 就労資格証明書を取得したい
- 次回の在留期間更新が心配
- 将来、永住許可を取得したい
転職前に確認しておけば、在留資格に関するトラブルを防ぎやすくなります。
まとめ
在留資格「介護」を持っている外国人でも、介護施設への転職は可能です。
ただし、転職する際には、
- 転職先の仕事内容を確認する
- 在留資格「介護」で認められる活動か確認する
- 所属機関に関する届出を行う
- 必要に応じて就労資格証明書を検討する
- 次回の在留期間更新を見据えて資料を保管する
ことが重要です。
また、将来的に永住許可を目指している場合には、転職後の収入・税金・年金・健康保険・在留資格との適合性なども適切に管理しておきましょう。
転職は人生に関わる大きな決断です。
「この施設に転職しても、今の在留資格で働けるのか?」
少しでも不安がある場合には、転職する前に確認することをおすすめします。
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