特定技能ビザが不許可になるケースとは?
「特定技能の申請をしたのに不許可になった」
「特定技能外国人を採用したいが、申請が通るか心配」
「試験には合格しているのに、なぜ申請が不許可になるの?」
特定技能の在留資格について、このようなご相談があります。
特定技能は、人手不足に対応するために創設された在留資格ですが、一定の要件を満たせば必ず許可されるというものではありません。
外国人本人については、技能・日本語能力などの要件を確認する必要があります。
一方、受入企業についても、雇用契約、報酬、社会保険、税金、労働関係法令、支援体制などについて、一定の基準を満たしている必要があります。
そのため、特定技能の申請では、「外国人本人に問題がないか」だけでなく、「受入企業側にも問題がないか」を確認することが重要です。
この記事では、特定技能1号を中心に、特定技能ビザが不許可・在留資格認定証明書不交付などになる可能性がある代表的なケースについて、行政書士が分かりやすく解説します。
「特定技能ビザが不許可」とは?
一般に「ビザが不許可」と言われますが、特定技能の手続きにはいくつかの場面があります。
例えば、
• 海外から外国人を呼び寄せる場合
• 日本にいる外国人が在留資格を変更する場合
• 現在の特定技能を更新する場合
などです。
海外から呼び寄せる場合には、在留資格認定証明書交付申請を行います。
日本国内で別の在留資格から特定技能へ変更する場合には、在留資格変更許可申請を行います。
また、すでに特定技能で在留している外国人が引き続き日本で働く場合には、在留期間更新許可申請を行います。
したがって、この記事では一般的な意味で「特定技能ビザの不許可」と表現しますが、手続き上は「在留資格認定証明書が交付されない」「在留資格変更が許可されない」「更新が許可されない」など、それぞれの場面があります。
特定技能ビザが不許可になる主な10のケース
特定技能の申請で特に確認したいのは、次のようなポイントです。
1. 外国人本人が特定技能の要件を満たしていない
2. 技能試験・日本語試験の要件を満たしていない
3. 雇用する仕事が特定技能の対象分野・業務に該当しない
4. 雇用契約の内容に問題がある
5. 日本人と同等額以上の報酬になっていない
6. 受入企業側の基準を満たしていない
7. 税金・社会保険・労働関係に問題がある
8. 支援計画・支援体制に問題がある
9. 過去の在留状況や資格外活動などに問題がある
10. 必要書類の不備・申請内容の矛盾がある
それぞれ詳しく確認しましょう。
1.外国人本人が特定技能の要件を満たしていない
特定技能1号では、原則として外国人本人が、
• 技能水準
• 日本語能力
などについて一定の要件を満たす必要があります。
一般的には、対象分野の技能試験と日本語試験に合格していることなどが基本となります。
ただし、技能実習2号を良好に修了した場合など、一定の要件を満たす場合には試験が免除される場合があります。
そのため、
「技能試験に合格していないから絶対に申請できない」
「日本語試験に合格していないから絶対に申請できない」
と単純に判断するのではなく、外国人本人の経歴を確認する必要があります。
2.技能試験・日本語試験の要件を満たしていない
特定技能では、分野ごとに技能水準を確認するための試験があります。
また、特定技能1号では、日本語能力についても一定の要件があります。
例えば、
• 技能試験の種類が違う
• 取得した試験が対象分野のものではない
• 試験の合格証明を確認できない
• 日本語能力の要件を満たしていない
などの場合には注意が必要です。
特に、外国人本人が「試験に合格した」と説明していても、その試験が申請する特定技能分野で認められるものなのかを確認することが重要です。
3.仕事内容が特定技能の対象分野・業務に該当しない
これは特定技能の申請で非常に重要なポイントです。
特定技能は、どのような仕事でもできる在留資格ではありません。
特定技能には対象となる分野が定められており、その分野において認められる業務を行う必要があります。
そのため、「人手が足りないから特定技能で雇いたい」というだけでは足りません。
実際に外国人が行う仕事内容が、申請する特定技能の分野・業務として認められるのかを確認する必要があります。
例えば、会社の事業そのものは対象分野に該当していても、外国人が実際に担当する業務が対象となる業務に該当するとは限りません。
4.雇用契約の内容に問題がある
特定技能外国人を受け入れる場合には、雇用契約についても一定の基準を満たす必要があります。
例えば、
• 契約期間
• 労働時間
• 報酬
• 休日
• 有給休暇
• 社会保険
• 労働条件
などを適切に確認する必要があります。
また、特定技能外国人だからといって、日本人労働者より不利な条件で雇用してよいわけではありません。
5.日本人と同等額以上の報酬になっていない
特定技能外国人の報酬については、重要な原則があります。
基本的には、同等の業務に従事する日本人と同等額以上の報酬
となることが求められます。
「外国人だから日本人より安い給与で雇う」という考え方では、特定技能の制度上問題となる可能性があります。
そのため、申請時には、
• 基本給
• 手当
• 昇給
• 賞与
• 同等業務の日本人従業員との比較
などについて確認することが重要です。
6.受入企業が特定技能の基準を満たしていない
特定技能は、外国人本人だけを審査する制度ではありません。
受入企業についても、一定の基準を満たす必要があります。
例えば、
• 労働関係法令を遵守しているか
• 社会保険関係の手続きを適切に行っているか
• 税金を適切に納付しているか
• 外国人を適正に受け入れる体制があるか
• 特定技能制度に関する必要な届出等を適切に行っているか
などが確認されます。
そのため、外国人本人が試験に合格していても、受入企業側の要件に問題があれば申請が認められない可能性があります。
7.税金・社会保険・労働関係に問題がある
受入企業側の税金や社会保険などについても注意が必要です。
例えば、
• 税金の未納
• 社会保険料の未納
• 労働関係法令上の問題
• 外国人雇用に関する法令違反
• 必要な届出を行っていない
などがある場合には、特定技能外国人の受入れに影響する可能性があります。
また、外国人本人についても、過去の税金・社会保険・在留状況などが審査上問題となることがあります。
8.支援計画・支援体制に問題がある
特定技能1号では、受入企業には外国人に対する支援が求められます。
支援については、
• 受入企業が自ら支援する
• 登録支援機関に支援を委託する
といった方法があります。
支援を自社で行う場合には、適切に支援を実施できる体制が必要です。
また、登録支援機関に委託する場合にも、適切な支援体制が整っていることを確認する必要があります。
「登録支援機関と契約したから、それだけで問題ない」
ということではありません。
特定技能外国人に対して、制度上求められる支援が適切に行われることが重要です。
9.外国人本人の過去の在留状況に問題がある
特定技能の審査では、現在の申請だけでなく、外国人本人のこれまでの在留状況についても確認が必要です。
例えば、
• 在留資格に基づく活動を適切に行っていなかった
• 資格外活動許可の範囲を超えて働いていた
• 不法就労をしていた
• 在留期間を超えて滞在していた
• 税金や社会保険について問題がある
• 過去の申請内容と今回の申請内容に矛盾がある
といったケースでは注意が必要です。
特に、留学生から特定技能へ変更する場合には、学生時代のアルバイト状況や資格外活動許可の条件を守っていたかについても確認しておくことが重要です。
留学生の週28時間超過には注意
例えば、留学生が資格外活動許可を取得していたとしても、許可された範囲を超えて働いていた場合には、在留資格変更の審査などに影響する可能性があります。
特に包括許可による一般的なアルバイトでは、原則として週28時間以内という制限があります。
さらに、週28時間については、どの曜日を起点とする1週間で見ても、常に28時間以内となるように管理する必要があります。
複数のアルバイト先がある場合には、勤務時間を合計して確認する必要があります。
「それぞれのアルバイト先では28時間以内だった」というだけでは十分ではありません。
10.必要書類の不備や申請内容の矛盾
特定技能の申請では、多くの書類を提出することになります。
例えば、
• 雇用契約関係書類
• 外国人本人に関する書類
• 試験合格関係書類
• 受入企業に関する書類
• 支援関係書類
• 税金関係書類
• 社会保険関係書類
などです。
ここで注意したいのが、単純な書類の「入れ忘れ」だけではありません。
例えば、
雇用契約書の仕事内容と申請書の仕事内容が違う
会社の説明と実際の求人内容が違う
履歴書と申請書の職歴が一致しない
といった矛盾も問題になります。
申請書類全体について、内容に一貫性があるかを確認することが重要です。
特定技能の不許可を防ぐためのチェックポイント
申請前には、次の項目を確認しておきましょう。
外国人本人
□ 特定技能の対象となる分野か
□ 技能試験の要件を満たしているか
□ 日本語能力の要件を満たしているか
□ 試験免除の対象となる経歴があるか
□ 過去の在留状況に問題がないか
□ 資格外活動違反がないか
□ 税金・社会保険等に問題がないか
受入企業
□ 特定技能の対象分野に該当しているか
□ 実際の仕事内容が対象業務に該当しているか
□ 雇用契約が適切か
□ 日本人と同等額以上の報酬となっているか
□ 労働関係法令を遵守しているか
□ 税金・社会保険等に問題がないか
□ 外国人を適切に支援できる体制があるか
□ 登録支援機関への委託が適切か
申請書類
□ 必要書類がそろっているか
□ 書類間の内容が一致しているか
□ 雇用条件に矛盾がないか
□ 外国人の経歴に矛盾がないか
□ 会社の事業内容と仕事内容が一致しているか
特定技能の申請は「外国人だけ」の問題ではありません
特定技能については、「外国人が試験に合格しているから大丈夫」
と思ってしまう企業もあります。
しかし、特定技能は外国人本人だけでなく、受入企業側の適格性も重要です。
逆に、外国人本人について要件を満たしていても、受入企業側の体制や雇用条件に問題があれば、申請がスムーズに進まない可能性があります。
そのため、外国人本人と受入企業の双方を同時にチェックする
ことが重要です。
特定技能が不許可になったら、すぐ再申請すればよい?
不許可になった場合、
「もう一度申請すればいい」
と考えてしまうかもしれません。
しかし、原因を確認せずに同じ内容で再申請しても、問題が解決していなければ再び不許可となる可能性があります。
再申請を検討する場合には、
1. 何が問題だったのかを確認する
2. 外国人本人の要件を再確認する
3. 受入企業の要件を確認する
4. 雇用条件を確認する
5. 必要書類を見直す
6. 前回申請との整合性を確認する
7. 問題を解消したうえで再申請する
という流れが重要です。
不許可理由を確認することが重要
入管への申請が不許可・不交付となった場合、その理由を確認することが再申請を検討するうえで重要になります。
ただし、審査上の具体的な判断理由がすべて書面で詳細に示されるとは限りません。
そのため、不許可・不交付となった場合には、本人または申請取次を行った行政書士などが、入管に確認することがあります。
そして、「なぜダメだったのか」を確認したうえで、再申請の可能性を検討します。
特定技能の不許可は「外国人本人だけ」の問題ではありません
特定技能の申請で重要なのは、
外国人本人
受入企業
雇用契約
仕事内容
支援体制
過去の在留状況
を一つのセットとして確認することです。
例えば、「外国人は試験に合格している」という情報だけでは、許可の可能性を判断することはできません。
受入企業の状況や実際の仕事内容、雇用条件なども確認する必要があります。
ポー行政書士事務所では特定技能の申請をサポートしています
ポー行政書士事務所では、外国人の在留資格・ビザ申請を専門分野の一つとして、特定技能に関するご相談を承っています。
例えば、
• 特定技能外国人を採用したい企業
• 海外から特定技能外国人を呼びたい
• 留学生を特定技能へ変更したい
• 技能実習から特定技能へ移行したい
• 特定技能の更新をしたい
• 特定技能の申請が不許可になった
• 特定技能への変更が認められなかった
• 受入企業側の要件を確認したい
• 登録支援機関との連携について相談したい
といったケースに対応しています。
「このケースで特定技能は取れますか?」という段階でもご相談ください
特定技能の申請では、申請書類を作成する前の段階で、
「そもそも、この外国人をこの会社で特定技能として受け入れられるのか?」を確認しておくことが非常に重要です。
申請準備を進めてから問題が判明すると、時間や費用が無駄になってしまう可能性があります。
そのため、
採用を決める前
雇用契約を締結する前
申請書類を作成する前
の段階で、一度確認することをおすすめします。
特定技能の申請・不許可についてお悩みの方へ
「特定技能で採用できるか確認したい」
「試験には合格しているが、申請できるか分からない」
「留学生から特定技能へ変更したい」
「受入企業として何を準備すればよいか分からない」
「以前の申請が不許可になった」
このような場合は、状況を確認したうえで対応を検討することが重要です。
ポー行政書士事務所では、外国人本人・受入企業の双方からのご相談に対応しています。
特定技能の申請を進める前に、現在の状況を確認しておきませんか?
お気軽にお問い合わせください。
まとめ
特定技能ビザが不許可・不交付となる原因は、一つとは限りません。
特に重要なのは、
• 外国人本人の要件
• 技能・日本語試験
• 特定技能の対象分野・業務
• 雇用契約
• 報酬
• 受入企業の適格性
• 税金・社会保険
• 支援体制
• 過去の在留状況
• 申請書類の整合性
です。
特定技能は、外国人本人だけを確認すればよい制度ではありません。
外国人本人と受入企業の双方について、申請前に確認することが不許可を防ぐための重要なポイントです。
また、不許可・不交付になった場合も、すぐに同じ内容で再申請するのではなく、まず原因を確認し、必要な改善を行ったうえで再申請を検討することが大切です。
特定技能の申請や不許可後の対応についてお困りの場合は、ポー行政書士事務所へご相談ください。
▼外国人ビザ・在留申請の不許可完全ガイドについて全体像を確認したい方はこちら
→外国人ビザ・在留申請の不許可完全ガイド
